以前に一度、前を通っただけの和菓子のお店があった。
敷居が高そうでいて、私なんかが入ってもいいのかと思うお店。

もう一度そこへ行く機会があったので、今度こそはと戸を叩く。
上品に並べられた和菓子は、その大きさすらも上品で。値段ももちろん上品だった。
ころんと小振りなその姿、よもや雰囲気だけじゃなかろうね?

店内は和菓子の販売と、食器などもいくばくか。
店の奥につながるのは日本茶の茶店。
奥へ、奥へ。

両手で事足りるほどの座席があって、こだわりぬかれたであろう内装と穏やかな空気、それに素敵な店主が迎えてくれた。
何を頼んでよいやら。賤しい身分には縁遠いもので、お薦めのお茶をお願いする。
手揉みの上質な日本茶。
お茶請けは蕨に求肥。
値段といえば、それはもう驚くべきものだったけれど、せっかくの機会です。

そしてそのお茶の味はもちろん、和菓子も、細やかな気配りすらも最上級で。

店をあとにしても、それは最高の映画を見た帰り道のような、興奮冷めやらぬといった風でした。
「わーーっ」って大声あげて走りたいくらい。

また行かなくちゃ。
困った。春には春積みの茶葉が、春の和菓子が待っている。
夏には水菓子があるかもね。
秋は栗かな。
飲みたいお茶もまだまだあるさ。
 
 
 
あまりに素敵な時間だったので、店を出てから、そこに歌が流れていたことに気付いた。

さりげなく、心地よく。