乙一の評価がいまいち定まらない。

彼の作品には、暖かな心通わせる繊細な話と、陰鬱な話がある。
いわゆる”白乙一” “黒乙一”と言われるそれである。

『死にぞこないの青』は黒。
いじめを主題に据えた話なのでまぁ暗い。
しかし読後感がそう悪くないのは、作者が最後まで突き落としたりしない性格だからだろう。
いじめの表現はいいと思うけれど、展開は綺麗に収めすぎ。
暗いが、読ませるのはさすが。

『失踪HOLIDAY』は白いほう。
収録された『しあわせは子猫のかたち』などは典型とも言える白さで、なんだかほっこり。
ただし『暗いところで待ち合わせ』と続けて読むと微妙。

で、ここまでまだ4冊しか読んでいないけれど、微妙と書いたのは物語の構造について。
この人の作品は、総じて人物や心理描写が良いのとは対照的に、構造は目新しくなかったりするので難がある。
登場人物がしっかり生きているのだから、へたに構造を持ち込まない方が良いような気もするのにな。
しばしば映像化されるのは、そのわかりやすい構図ゆえだろうけど。
文章は好きなだけに評価しづらい。

まぁ、とにかく『暗いところで待ち合わせ』を読めってことです。
また読み返して、またぐっときたさ。