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6 10月
私には幼少からのささやかな娯楽がありました。
洗濯機の渦をいつまでも飽きずに見ていることが出来るのです。
ジャボー・・・・ ザバー・・・・
そうした水流に翻弄され続ける衣服。
透明な水が洗剤によって白く、また衣服の汚れによって黒く変化する様も私を惹きつけます。
これが、螺旋の力・・・・
ゴウンゴウンと音を立てる四角い箱、その蓋が全面透過素材でないことを恨んだことは一度や二度ではございませんでした。
- – - – -
さて、私とてただ無為に渦を眺めるだけではありません。
ゴミ取りネットに溜まった洗濯くずを手にするのが好きなのです。
あのフェルトのような、織りでは出せない感触は私の心を喜ばせました。
このくずは、洗濯をしていなければ部屋に埃として堆積したはずのものです。
衣類を洗うというのは、汚れを落とすと同時に、私の部屋を洗うのと同義なのだと気付きました。
だから私は休みの度にシーツや布団カバーも洗うのです。
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色鮮やかな布を延々と洗濯機にかけたら、きっと色鮮やかなフェルトが出来上がるぞ。
そう悪魔が囁きかけます。
けれど、あいにく色鮮やかな衣服の持ち合わせがございません。
「赤だ、赤い服を買え」
頭の中でまた声がします。
しかし、戦隊ヒーローに入れたとしても緑どまりが関の山。赤が務まらぬことは私が一番知っています。
三倍速くもありませんし。
ねずみ色のフェルトもどきを手に、
「なぁ、これだって悪くはないじゃないか」
一日の洗濯の成果を眺めながら、グラスの氷はカランと鳴った。
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